『となり町戦争』
『となり町戦争』三崎 亜記
なんとなく気になっていたので読んでみました。
戦争の実態も目的も分からないので、じわじわとした怖さがある。
戦争を業務として描いているが、実際のところはどうなのだろう。実際も半ば業務ではないのか。(景気をよくしたければ戦争、というし)
傭兵も戦争を歩きわたる外国傭兵というのが出てくるが、これも実際にいるのだろうし。
目的もあやふやで実態もろくにないのにどこかでは確かに人が死んでいる、という状況はきっとどこが戦場になっても同じなのだろう。目の前で血が流れない限り。
なんてことを色々考えるのは、サークルで国際問題を若干かじっているからだろうか。
淡々とした状態がひりひりとしていて、好きだったのだけれど、後半は香西さんへ意識が移行しているのがいささか不満。
ひりひりさ、不気味さを維持してほしかった。
でも、香西さんは、どうやって生きていくのだろうか、とふと思う。
『レインツリーの国』
『レインツリーの国』 有川浩
図書館戦争で気になったので、手に取ってみました。
一番初めに思ったのは、この人は本当に女の子のドロドロ感を書くのがうまいな、ということでした。笑
図書館戦争(の何冊目か)で主人公が女の子集団相手にちょいと面倒なことになる場面があったのだが、それといい今回のといい。
女ってつくづく面倒だなと思う。
さて、本題に。
コンプレックスって本当に難しい。
私は他者とコミュニケーションをはかる上での障害はないけれど、それでもコンプレックスというか少々問題があることはある。
それを盾にしてはいけないし、それを甘える原因にもしてはいけない。
ぶつかりあえる二人が羨ましくあるし、伸のがまん強さというのも、また然り。
苦しみながらも関係を作っていこうとする姿が好きだ。
人と関わっていこうと思えば、コミュニケ―ションとることは必須だ。
コミュニケーションとるには言葉が必要だ。
相手に甘んじてはいけない。
恋して嫉妬したり、変わろうと思って髪を切ったりイメチェンをするひとみも好きだ。
前半は、正直なところ、この子の殻にこもった状態が非常にいらいらしたのだけれども。
「耳をすませば」といいこの本といい、どうやら私は本から始まる恋というのに非常に憧れてことに気付いた。
ハプスブルク展・1
ハプスブルク展・1
六本木にある国立新美術館に見てきたのは先週ですが、感想を。
いかにハプスブルク家がヨーロッパに力を持っていたかが分かる展覧会でした。
展覧会の構成もイタリア、スぺイン、ドイツ、工芸と武具、フランドル・オランダとヨーロッパ中を網羅。フランスとイギリスだけは支配が及んでいなかったことがよく分かる。
ハプスブルクだけあって、コレクションの質はなかなか高いし、宗教画・神話画といったクラシックな絵画が多い。
(西洋美術においては、長らく宗教画・神話画がそのほかの風景画や風俗画などよりも地位が高いとされていた)
中にはこれは女性の裸体が見たいがために描かせた神話画か、というのもありましたけどね。
全体としては見ごたえ十分。
卒論で対峙中のティツィアーノの作品も数点あったので、色々考えてもしまう展覧会でした。
ティツィアーノの作品については、また次に詳しく書きます。
せっかく資料が手元にあることですし。
ルネサンスの西洋美術に触れるには良い展覧会だと思います。オススメ。