『アルフォンス・ミュシャ展』三鷹市美術ギャラリー
テレビにてミュシャ展の宣伝を見たので、行ってみました。
一応、大学時にポスターの歴史の授業をとって、ミュシャについて軽く調べたのと、アール・ヌーヴォーの話もちょこちょこ調べたことがあったので、多少の下知識はあり。
ミュシャ、と一目で分かるポスターはキレイ。ずいぶん多くのものをデザインしていたんだなぁと。
似ているものも多いけど、色々なものを女性に例えている。花はもちろん、音楽・絵画などの概念、月、太陽、明けの明星などの天体、季節、12ヶ月 etc
ポスターのデッサンも同時に展示されていたものもあったのだけれど、デッサンのほうが色いいな、と思うものも少々。
ポスターの印刷の限界なのか、それとも年月が経って色があせてしまったのかは分かりませんけど。
とはいっても、今回観に行った理由は、テレビで見たときにミュシャの油絵が面白そうだったから。
主に油絵を描いていたのは、ポスターで有名になる前と、有名になったあとに故郷のチェコに帰ってから。
有名になる前の作品は、歴史画や聖母子像などわりとメジャーな分野な作品。聖母子は素敵だった。
しかし、それ以上に響いてきたのが、チェコに帰ってからの作品。
民族自決、のようなメッセージ色が強い作品が多かったのだが、ポスターを描いていた頃から10年も経たぬうちにこんな作品を描いたのか…と。
戦場の暗い絵もあったし、チェコの歴史上の人物と独立、とか英知、とか概念を組み合わせたものがあった。プラハ市民会館市長ホールの原画、というやつです。
これがすごかった。
連作で、ミュシャっぽくなくて、でもすごく力があった。ポスターよりこっちのほうが心に残る。
美術展に行ってよかった、と思った瞬間。
ということで、作品自体は非常に満足。作品自体はね。
この展覧会のマイナス点は、三鷹でやったことか。
まず会場の広さと作品数が合ってない。もう少し作品は間隔をあけて展示していただきたい。
通路も狭い。
あとは、普段はあまり人が来ないのか、グッズ売り場のレジが一つしかない&狭いために、大行列。
初めて見たぞ、グッズ売り場での長蛇の列って。ポストカード買いましたけどね。
(しかし、ポストカードも、ポスターのミュシャっぽい柄しかなくて非常に残念。図録を買う気にはならないし)
それでも、普段上野や六本木のような巨大美術館ではあまり見ない、中高生とか家族連れのような、ふらっと気軽によってみました、みたいな人が結構多かったのは、いいことだと思う。
うーん、美術館に行くことのハードルを下げることと、会場の大きさと、展覧会の質。この3つのバランスをとるのって難しいのだろう。